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犬の膵炎について|早期発見と予防で大切な家族を守る
広尾・恵比寿・西麻布・南麻布を中心に診療を行う「広尾テラス動物病院」です。
犬の膵炎は膵臓に炎症が起こる病気で、嘔吐や腹痛などの症状を伴います。この病気は急性と慢性の2種類があり、特に急性膵炎は早期の発見と治療が命を救う鍵となります。
今回は犬の急性膵炎について、原因や症状、治療方法、さらには自宅でのケアや予防策などを解説します。
■目次
1.犬の膵炎(急性膵炎)の主な症状
2.膵炎(急性膵炎)の原因と危険因子
3.診断方法
4.治療方法
5.自宅での管理と予防法
6.まとめ
犬の膵炎(急性膵炎)の主な症状
膵炎の症状は多岐にわたりますが、主に以下のような症状が見られます。
<嘔吐>
突然の嘔吐が頻繁に見られる場合、膵炎の可能性があります。嘔吐は、膵臓の炎症による痛みや消化不良により起こります。
<下痢>
水様便や血便が見られることがあります。膵臓の炎症が腸にも影響を及ぼし、下痢を引き起こします。
<腹痛>
犬が腹部を触られるのを嫌がる、または痛がっている場合は膵炎が疑われます。膵炎は炎症が強く、痛みがかなり強い病気です。おしりをあげたスフィンクスのような祈りのポーズをとることがあります。
<食欲不振>
急に食欲がなくなり、ご飯を食べなくなることがあります。これは、痛みによる影響と膵臓の機能低下により、うまく消化ができなくなるためです。
<脱水症状>
嘔吐や下痢による水分喪失で、脱水症状があらわれることがあります。脱水は命に関わることもあるため、早急な対応が必要です。
<元気消失>
活動量が減り、元気がなくなることがあります。
特に、嘔吐や腹痛、元気消失は飼い主様が気づきやすい初期症状です。これらの症状が見られた場合は、様子を見ずに早めに獣医師に相談することが重要です。
また、重症化するとショックや呼吸困難、播種性血管内凝固(DIC)が起こり、処置が遅れると、命を落とす危険性があるため、注意が必要です。
膵炎(急性膵炎)の原因と危険因子
膵炎の原因はさまざまですが、以下のような要因が考えられます。
<高脂肪食>
高脂肪の食事は膵臓に負担をかけ、膵炎を引き起こすリスクを高めます。特に、人間の食べ物や、チーズ系のおやつなどは注意しましょう。
<肥満>
肥満は膵炎のリスクを増加させる要因の一つです。肥満は膵臓に過剰な負担をかけ、炎症を引き起こしやすくなります。
<特定の薬剤>
一部の薬剤は膵臓に悪影響を及ぼすことがあります。例えば、ステロイドや一部の抗生物質が膵炎を引き起こすことがあります。
<遺伝的要因>
一部の犬種は膵炎のリスクが高いことが知られています。特に、ミニチュア・シュナウザーやヨークシャー・テリアなどは、リスクとなる高脂肪のものを与えないよう気をつけましょう。
<年齢>
高齢の犬は膵炎のリスクが高くなります。年齢とともに膵臓の機能が低下し、炎症を引き起こしやすくなります。
診断方法
膵炎の診断には、以下のような検査が行われます。
<血液検査>
膵臓の酵素レベルを測定し、膵炎の有無を確認します。特に、リパーゼやアミラーゼ、Spec cPLの値が重要です。
<超音波検査>
膵臓の状態を確認し、炎症の有無や程度などを判断します。超音波検査は、犬にあまり負担をかけずに行えます。
<X線検査>
腹部の状態を確認し、他の疾患との鑑別を行います。X線検査では膵臓を直接確認することは出来ませんが、周囲の組織の変化を確認したり、他の疾患が隠れていないかを見たりします。
治療方法
膵炎の治療は、症状の重さや原因によって異なりますが、一般的には以下のような方法が取られます。
<絶食>
膵臓を休ませるために、一時的に食事を控えることがあります。絶食期間は通常24~48時間程度ですが、最近ではできるだけ食事を摂った方が良いともされています。その場合は低脂肪のリキッド食などを給餌します。
<点滴>
脱水症状を防ぐために、点滴で水分と栄養を補給します。点滴は体内の電解質バランスを保つためにも重要です。
<薬物療法>
痛みを和らげるための鎮痛剤や、炎症を抑えるための抗炎症薬が使用されます。抗生物質が必要な場合もあります。
<食事療法>
低脂肪の療法食を与えることで、膵臓への負担を軽減します。食事療法は長期的な管理においても重要です。
自宅での管理と予防法
膵炎の予防と管理には、日常的なケアが重要です。以下の方法を実践することで、膵炎のリスクを減らすことができます。
<適切な食事管理>
前述したとおり、低脂肪のバランスの取れた食事を与えることが重要です。市販のドッグフードでも、低脂肪タイプを選ぶと良いでしょう。
<定期的な運動>
適度な運動は肥満を防ぎ、全体的な健康を維持するのに役立ちます。そのため、毎日の散歩や遊びを取り入れましょう。
<ストレス軽減>
ストレスは膵炎のリスクを高める可能性があるため、犬がリラックスできる環境を整えることが大切です。そのため、静かな場所で休ませたり、安心できるスペースを提供したりしましょう。
まとめ
犬の膵炎は、早期発見と適切な治療が鍵となります。飼い主様として、日常的なケアと予防法を実践し、愛犬の健康を守ることが大切です。膵炎の兆候に気づいたら、すぐに獣医師に相談し、適切な対応を取りましょう。
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